あとがき

 この 『私の昭和史』 をインターネットに公開したのは平成16年7月のことであった。公開したときには未だ 「第一部 生い立ち」 と 「第二部 戦争の時代」 までであった。月末には2回目の大腸癌手術をするという、あわただしいときであった。そのときまでに私の属する市川 IT サークルで、40数時間もホームページの作成方法を勉強した。折角、4ヶ月もかけて勉強した技術を、無為に朽ち果てさせるのも惜しい。私は自分史を材料にして、ホームページの作成を始めた。ホームページの前半の原稿を仕上げた頃、手術の日程が決まった。手術をすれば最悪の場合は死ぬこともある。半身不随、全身不随の後遺症のリスクも絶無ではない。自分史は完結していないが、今まで作り上げた部分だけでも、この世に残しておきたい。技術の未熟な私は、市川 IT サークルの大竹先生に、面倒なインターネットへの転送の手続きをやってもらった。

 その後折にふれ、第三部以下を追加した。もっとも大きな更新は中村稔著 『私の昭和史』 を読んだ時であった。  平成19年の初め、私は詩人の中村稔著 『私の昭和史』 を読んだ。中村は私と同世代の人である。首都圏の中学から第一高等学校→東大法学部を経て弁護士となり、詩人との両道を掛けて、現在も活躍中である。彼の昭和史の幼少年時代は時期的に私のそれと重なるが、その記述の、詳細で行き届いていることは驚くばかりであった。彼の自分史に比べて、私のホームページの幼少年時代の記述があまりに簡単、粗漏であることがわかって、衝撃を受けた。そこで、ホームページの生い立ち、幼年時代、少年時代、戦争の時代に夫々いくつかのエピソードを加えて、これまでの粗雑な内容を補強した。なお、中村稔の 『私の昭和史』 については、本文の第四部続、あとがきで詳述した。参照してください。

 最初に公表したときから丁度3年後に自分史はほぼ完成した。これを読んだ友人から、サラリーマンの自分史としては、まあ面白いほうだと、お世辞半分の誉め言葉を頂戴する。しかし、本文の大部分は、パソコン初心者の時代の作品である。「メモ帳」 にタグ記号をたよりに文章と写真を詰め込んで、インターネットにアップロードしたものに過ぎない。技術的には何等見るところのない退屈な代物なのだ。モニター画面一杯に拡がる文字の連なりは、漢字が多くて読みにくい。トップページの目次から、面白そうなところだけ拾って、つまみ食いをしていただきたい。

 私のこのホームページは、いつ終わるともわからない状態で、延々と続いている。もちろん、始めあるものには必ず終わりがある。あと何年と、指折り数える必要もなく終わるだろう。

 昨年(平成18年)7月から、海軍のクラス会のホームページを作り始めた。それが去る(平成19年)6月下旬完成した。これには、見る人が見やすいようにと、さまざまな工夫を凝らした。一度、挿入された写真集でもご覧いただきたい。URLは次のとおりである。

  http://kouyoukai.info/

 または、Yahoo や Google などの検索エンジンの検索窓に 江鷹会 と入力して、検索ボタンを押してもアクセスできる。江鷹会は海軍兵学校第74期の別称である。江は江田島を、鷹は江田島の最高峰、古鷹山をあらわす。ホームページの末尾の 「外部リンク」 に71期から78期までのホームページをリストアップしてある。ご用とお急ぎでないときに、各期のホームページを比較、品定めなどしていただきたい。

  昨年1月に、われわれ夫婦は金婚式を迎えた。50年といえば半世紀、この長い年月を大した喧嘩もしないで過ごしたことは、われわれ夫婦の最大の業績といわねばならない。

 祖母も逝き、父母も逝き、姉も逝き、私より年上の肉親はすべて亡くなった。残る肉親は私を筆頭に二人の子どもと甥二人、姪ひとり、それに彼らの子孫である。年齢の順番にこの世を去るのは、もっとも自然の摂理にかなっている。わが岡野家に、当面、逆縁の可能性がなくなったことは喜ばしい。

 昔、厳島神社の宝物館で 「清盛願文」 を見た。そこで、平家の頭領であった平清盛は、年齢の順番に往生させて 欲しいと、厳島大明神に頼んでいる。出世主義・権力主義の権化のような清盛にしてなお、この言があるかと感銘を受けた。「清盛願文」は平清盛がみづから手書したもので、同時に奉納した 「平家納経」 とともに国宝に指定されている。

 私は、一遍上人 いっぺんしょうにん の 「 しょう ずるもひとり、死するもひとり、ともに あゆ むもまたひとり」 という言葉が好きだ。まあしかし、それはそれ、これはこれ、二人で手を携えて歩いてきた人生を祝福したい。

 この長すぎる自分史の最期を金婚式の写真で飾ることにした。(19.7.27  20.12.31)




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